猫にダメなことを教えたい。しつけってどうするの

猫へのしつけはちょっと難しいと思ってください。犬のように人間に対して絶対服従な動物ではありません。猫は人間をうまく使うのが上手な動物です。お腹が空いた、遊んでほしい、かまってほしいなど、猫が人間を必要としたら寄ってきますが、必要ないときは見向きもしません。これが「わがままで気まぐれ」と言われるゆえんかもしれませんね。

しかし、猫はバカな動物ではありません。むしろとても賢い動物です。人間が優しく接しているのか、怒っているのかなど瞬時に判断します。優しい声で近づくと、ノドをゴロゴロ鳴らしてリラックスするし、怒られているときはすぐに逃げて隠れてしまいます。

そんな猫をどうやってしつければいいのでしょうか。ダメなことを教える場合は、現行犯でしか叱ってはダメです。あとから叱っても猫にしてみれば、なんで怒られているのかさっぱり理解しません。怒るときも、叩いたりしてはいけません。大きな声で「コラッ」と怒鳴るだけで、猫は怒られていると理解します。きっとすぐに逃げ出してしまうでしょう。そのうち、悪いことをしているときには目が合っただけで逃げ出すはずです。

しかし、猫に対して「しつけをする」という人間本位の考えそのものが間違っているように思いますね。しつけをするのではなく、「猫が悪さできないように工夫する」のが正解だと思います。猫がおやつを勝手に食べてしまうのであれば、猫がちょっかいだせないところに隠しておく。猫が乗ってほしくないところは、乗れないようにする。爪とぎをされたくないところは、されないようにする。などです。壁で爪とぎをするクセがある場合は、爪がとげないよう透明のフィルムを貼ってしまえばいいわけです。ツルツル滑って爪がとげないので、猫もそのうち諦めます。爪をとぐのはちょうどいい具合に爪がひっかかるからなんですね。ソファーの場合はカバーをかけるなど、猫ができないように考えてみてください。

噛み癖のある子は、幼少期に兄弟で遊ぶことをしなかった子によくみられます。兄弟同士で遊ぶことで、本気で噛んだら痛いんだなということを学びます。自分が痛い目に遭っていないので、加減がわからないだけなんですね。そんな子に対しては、噛まれたときにわざと大きな声で「痛いっ!」と言ってみましょう。痛がっている様子を見て、噛んじゃいけないんだと学ぶはずです。間違っても叩いたり暴力をふるったりしないようにしてください。叩かれることで凶暴化することもあり得ます。

トイレに関してはあまり教え込まなくても、猫の習性で粗相をすることは少ないようですが、どうしてもトイレ以外のところでする場合は何か理由があるはずです。この場合も猫を怒るのでなく、なぜトイレ以外でしてしまうのか考えてみましょう。トイレが掃除されておらず、汚いところでするのが嫌なため、トイレ以外のところでしてしまう。一度粗相をした場所にトイレにニオイがついており、トイレと勘違いしている。などがあげられます。トイレは猫が用を足したらすぐに掃除するようにしてあげましょう。常にトイレをきれいにしておくと次からもきちんとトイレでしてくれるはずです。一度でもトイレ以外のところでしてしまった場合は、徹底的に掃除してニオイを完全に取ってしまいましょう。消臭スプレーなどを使うのが効果的です。猫がソワソワしだしたらトイレのサインです。サインがでたら猫をトイレまで連れて行ってあげてください。何度か繰り返すうちに猫も覚えてくれるはずです。根気よく続けるようにしましょう。

「猫ができないように人間が工夫する」というのが猫のしつけへの近道だと思ってください。