猫に去勢・避妊手術はかわいそうな気がするんだけど

猫にとって去勢や避妊手術は可哀想なのでしょうか。それは人間目線での考えだと思ってください。猫は、出産期間が約2ヶ月と短く、交尾してから排卵する動物なので、ほぼ100%妊娠の確率があります。しかも年に2~3度の出産で、一度に1~5匹程度産むので、ものすぎい勢いで増えていくのはわかりますよね。

ノラ猫の場合、まともな食事も与えてもらえず、栄養不足でほとんどの子猫は成猫になる前に死んでしまいます。猫嫌いな人間から虐待を受けることもあります。もちろん虐待は犯罪なので絶対にやってはいけないことだけど、悲しいかな、猫への虐待は後を絶ちません。交通事故にあう猫も少なくありません。外は猫にとって危険がいっぱい。ノラ猫はゆっくり寝ることもできません。いつも神経をとがらせており、敵や人間がきたら逃げる。猫同士のなわばり争いで喧嘩をする。こんな状況で産まれてくる猫たちは、はたして幸せなのでしょうか。

元々ノラ猫は野生から繁殖した動物ではありません。人間がペットとして飼うために繁殖させたものです。人間が繁殖させておいて、必要なくなったから捨てたことがノラ猫のはじまりなんですね。あくまでも人間の身勝手で、過酷な生活を強いられているのがノラ猫だということを考えるべきでしょう。猫が幸せに暮らすためには、人間の手助けが必要だということです。

家の中で飼っているから手術する必要はないと思う人もいるかもしれませんが、これは大きな間違いです。去勢や避妊手術をしていない猫は、発情期を迎えます。発情期になると家の中にいようが相手を求めて大きな声で鳴きます。その鳴き声を聞きつけて、ノラ猫たちが集まってきます。さらに、発情して欲求を満たされないことは、猫へのストレスが大きいと思ってください。この発情期、年に3回ほどあるので、そのたびにストレスをためていては猫も可哀想ですよね。

オス猫の場合は、スプレーという行為をしはじめます。これは、自分のなわばりの目印としてつけるものでオシッコとは異なります。オシッコよりはるかにニオイが強烈で、家の中でやられたのではたまったもんじゃないでしょう。このスプレーは、去勢手術をすることでほぼ解決できます。オス猫が発情する前に手術した場合は、90%以上の確率で阻止できるようなので、スプレーをさせたくない場合は、去勢手術は必須だと思っていたほうがいいでしょう。

メス猫の場合、避妊手術をすることで、子宮の病気にかかりにくくなるため長生きにつながります。乳がんの予防にもなるので、子猫を産む予定がない場合は、避妊手術をしておくべきでしょう。

去勢や避妊手術をした猫は、いつまでたっても性格が子猫のままで甘えん坊になるという統計もあります。飼い猫の場合は、人間を母猫だと思っていつまでも甘えてくるというわけですね。発情期のストレスもなく、病気の予防もできるため、飼い猫の長生きにもつながります。

猫の去勢や避妊手術にかかる費用は、動物病院によっても違いますが、オス猫のほうが安く入院の必要もない場合が多いようです。メス猫は開腹手術の必要があるため、オス猫に比べて費用も高く、入院する必要がある場合があります。最近では地域の自治体が負担してくれることもあるので、確認してください。

猫のためというのはもちろんのこと、一緒に暮らす人間のためにも、去勢や避妊手術はしてあげるべきだと考えてください。人間も快適に暮らせますし、猫にとっても幸せだということですよ。